茶匠が心を奪われた、一杯のコーヒー

shokking

私とコーヒーとの出会い。

それは今から10数年前、都内の名門茶問屋の会長との出会いから始まった。
ある日出張で会社を訪問したとき、会長が昼食後に煎茶ではなく1杯の珈琲を差し出した。(珈琲は嫌いではないが・・・なぜ・・)と、躊躇していると、

『いいから飲んでみろ』

と言った。

半信半疑で珈琲を飲んでみた。
私は言葉を失った・・・

ただ、一言自分の口から出た言葉は、

『うまい、本当にうまい』

しかし、それは先代からお茶一筋に努力してきた自分を否定しているようでもあった。

たった1杯の珈琲に言葉を失ってしまったのだ・・・

その後、会長は何も語ろうとはしなかった。
会社に戻った私は自信を失っていた。
こだわりと信念を持った自分が、珈琲に心を動かされてしまったのだ。
自分自身の気持ちを素直に認めることが出来なかったのだ。

そんな時、先代から厳しく言われていたことを思い出した。

『自信を持て。自分を信じろ』

ひとつの形にとらわれず、自分が良いと認めたものはとことん追求してきた、先代の言葉を思い出した。
そして、私に迷いは無くなった。前に出ることを決心したのだ。

当時、業界では『お茶屋が珈琲を創る』と考える茶匠は誰もいなかった。
むしろ、私自身に逆風が吹くことが予想できた。 それでも、私は自分の道を歩むことにしたのだ 。

・今から10年間の間に最高に美味しいコーヒーを自身の手で作り出し、お客様に販売すること。

・日本一の茶処静岡の掛川であってもお茶に負けない、味・香り・品質のコーヒーを創り出すこと。

・掛川一風堂を創業、自家焙煎珈琲のお店として地域のお客様に美味しいコーヒーを提供しお客様に幸せを提供すること

を、誓ったのだ。

今日に至るまでの10年間は苦労の連続であった。

お客様にお好みの焙煎コーヒーをお届けすあるのに、何度も失敗を繰り返してきた。
お叱りを頂いたお客様の所へ訪問し、色々とご指導を頂いた事もあった。

お茶と共通することもあるが、そこはあくまでコーヒーとお茶。そう思い通りにはいかなかった。

そして、迎えた2006年私はある決断を下す。

『これからの10年は飛躍の10年になる。 これまで蓄えてきた技術・こだわりを持って全国のお客様に掛川一風堂のこだわりのコーヒーをお届けする 。そして、全国のお客様に美味しさと、幸せを提供する。』と誓った。